エンジニアコラム

akiyama_kazuo 秋山 一男

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いい仕事の半分は、技術力以外でできている

2016.12.05

いい仕事の半分は、技術力以外でできている

仕事が進む「打ち合わせ」の心得3訓

皆さんは、エンジニアとして大事な資質は何だと思いますか?
技術力?知識や情報収集力?それとも独創性?いやいや、連日の徹夜をものともしない体力でしょ?
どれも一理あって、重要な項目かと思いますが、それらと同じくらい私が重要だと思っているのが、きちんと「打ち合わせ」ができる能力です。

試作機は全滅

今から36年前、私が新卒で入社してから半年くらいたった頃の経験です。
私は特注電源の開発チームに配属されました。当時は特注(OEM)電源の需要が多く、社内の設計工数が不足していたため、設計外注さんに依頼して製作する機種が、少なからずありました。そしてある日上司から、設計外注さんが製作した電源の試作機が納品されるので、動作確認をするように指示を受けました。

翌日の夕方、生産部の作業机に10台のスイッチング電源が並んでいました。ACプラグも取り付けられた状態でしたので、まずは通電と思い、コンセントにプラグを差し込みました。ところが一瞬で「パシュッ」という音と小さな火花と共にヒューズが切れました。「えっ?」と思いながらもう一台。2台目も同様でした。
すぐにこのことを上司に報告しました。上司はその場で設計外注さんに電話をして、大きな声を出していました。どうやら組み立てただけで、火入れ(通電)はしていないということだったようです。

突貫で再設計

上司は電話を切って、私に指示を出しました。
「壊さないようにして火入れして、動作確認をしなさい。」
「壊さないように」って、プラグ刺した瞬間に飛んでしまうのに、と思いながら、とにかく構造を把握しないことには始まりません。まずは回路図とにらめっこです。スイッチングレギュレータ用制御IC MB3759・・・なんですかコレ?解らないことばかり。いろいろ調べました。部品のこと、回路のこと、その他諸々。納品から二週間くらい過ぎてしまいましたが、なんとか10台が動作する状態にはなりました。しかし仕様を満足するものではありませんでした。

このままではお客様に納品ができません。仕様を満足するための改造が始まりました。スイッチングトランスの巻き方から再検討です。そして基板も再設計です。特注(OEM)製品の納期は絶対厳守。約一か月の突貫作業になりました。
どうにか作業の甲斐あって、指定納期に初回ロットの10台を納品できました。納品時には営業さんに同行。その時に聞いた、納品先の設計者の方の言葉を今でも忘れられません。
「さぁ、電源入れて動かせるぞ。楽しみだ!」

この特注電源は+5、±12、+24の固定4出力のスイッチング電源でした。その後総出荷台数は1万台を超え、12910台になりました。用途は卓上型の仮名漢字自動変換機能付き日本語業務用ワードプロセッサです。当時の価格は270万円(!)。

時代の最先端をゆく製品の電源という重要な部分を担うことができて、とてもやりがいのある仕事でした。かなり忙しかったのですが、日々新しいことが現れてきて、それを吸収していくことが面白く、とても楽しく仕事をしていたように記憶しています。そしてその後の自分の仕事の進め方にも、とても影響のある仕事でした。

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