エンジニアコラム

矢島 芳昭 矢島 芳昭

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計測トラブルバスターY氏の事件簿

2017.03.13

計測トラブルバスターY氏の事件簿(1)

Mission1:通信エラーの原因を追え!

なぜ高い周波数だと通信エラーを起こしやすくなるのか?

ではどうして、50Hzの成分はエラーをおこしにくく、10MHzの成分はエラーを起こしやすいのか?を考えてみます。 USBは2.0 Full Speedの場合、12Mbpsの速度で通信が行えます。1ビットあたりの時間は83nsで、信号振幅は3.3Vです。50Hzの成分はUSBの信号速度から見たら、まるで直流と同じぐらいの変化時間なので、もし仮にケーブルに50Hz成分が乗ったとしても1ビットだけ狙ってエラーさせるようなことはできません。しかし、10MHzの成分はUSBの1ビット分の時間に対して十分影響させられる周期ですので、これが乗ってきたら無視できないでしょう。
しかし、ノイズの乗り方にはもう少し深いものがあります。それは「共振」です。
:USB2.0には2つのモードがあり、High Speedモードが480Mbps、Full Speedモードが12Mbpsの伝送速度です。

図2 波長の長い・短い

図2 波長の長短

同じ電流値でも周波数が高いと波長が短くなるため、短いケーブルでも共振が起きやすく、通信信号に影響を与えます。 たとえば、50Hzの成分の波長は約5.9kmですが、10MHzの成分の波長は30mと短くなります。また、共振が起こった場合、電圧の最大点は波長の1/4の長さになることがわかっています。
したがって、ケーブル長が波長の1/4になった点がノイズ電圧最大のポイントになるので、例えば10MHzのノイズ成分で共振が起きていると、7.5mのケーブルが最も感度の良い「アンテナ」になるため、USB通信信号が妨害されエラーになってしまうというわけです。
もし、50Hzの成分で共振させようとするなら、約1.4kmのケーブルが必要になります(厳密には短縮率を考慮する場合もありますが、ここでは簡略化して考えます)。

図3 1/4波長アンテナの電圧・電流分布

ノイズ成分は周波数が高くなるほど少なくなりやすい性質を持っていますので、「ケーブルを短くするとノイズを受けにくくなる」というのは、「共振する周波数がノイズの少ない周波数になるので、結果としてノイズを受けにくい」ということ。機器接続において「ケーブルはできるだけ短く」というのはここから来ています。

ダンピング抵抗を入れてみる

耐電圧試験器を使用する際に、被試験物の絶縁破壊によって起きるノイズ成分を減らす方法として、当社では高圧ケーブルの途中に抵抗を挿入する方法を推奨しています。

ノイズ影響の軽減
出力間が短絡されたり、被試験物の絶縁破壊によってノイズが発生します。その影響で、周辺の電子機器などが誤作動する場合があります。ノイズの影響を低減させるために、高電圧側テストリードの先端と被試験物の間、および低電圧側テストリードの先端と被試験物の間(できるだけ被試験物に近い位置)に、トロイダルコア、または470 Ω 程度の抵抗を接続してください。
トロイダルコアを接続する場合には、電源ケーブルなどに使用する直径20 mm 程度の分割式のコアにテストリードを2~3 ターン巻くと効果があります。抵抗を接続する場合には、抵抗の電力定格に注意してください。上限基準値が10 mA 以下の時は470 Ω(3 W、インパルス耐電圧30 kV)程度の抵抗を接続してください。この抵抗を接続した場合には、被試験物に実際に印加される電圧は抵抗による電圧降下が発生するために、本製品の出力端子電圧よりも若干低い電圧(10 mA の電流が流れた場合には、約10 V 低い電圧)になります。これらの対策は、ノイズの影響を低減させるためには大変効果があります。

図4 抵抗を挿入してノイズを抑える

(図4)のような接続を行いますと、短絡時に発生するノイズを大幅に抑えることができます。実際にこの接続を行って電流波形を測定してみました。

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