エンジニアコラム

後藤 義則 後藤 義則

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本当は怖い専門用語・業界用語(前編)

2017.05.29

本当は怖い専門用語・業界用語(前編)

ちょっと待った!その言葉は正しく伝わりますか?

世には様々な職業があり、その職域(業界)の中で通じる「専門用語」や「業界用語」があります。もちろん私の職場である電気業界にもあります。
言葉というのは(言うまでもありませんが)大変便利なものです。特に概念や仕組みを表すような用語は、平易な言葉に置き換えて長々説明するよりも端的に相手に伝えることができます。しかしそれが「怖い」ところでもあります。

とりわけ業界に長くどっぷり浸かっているベテランほど、実は危うかったりします。かつて電気業界が「イケイケ(これ通じるかな?)」だった頃、それぞれの専門領域は縦割りで、それぞれが自分の領域のみを深堀していればよし、隣のことは知らん、という風潮でした。しかし現在は、技術革新のために、隣接分野はもちろん、異分野を交流させるような仕事や人の流動化が当たり前のように起きています。
なので、自分が属する分野(職場)で普通に使っている用語や表現が、異分野の人に伝わらない、もしくは誤解されるようなケースが、昔よりも起きやすくなっているかと思います。特にわたしの感覚としては「略語」はかなりの確率で地雷になり得るのではないかと。

そこで今回のコラムでは、私が体験した用語・表現に関するプチトラブル(恥?)をご紹介したいと思います。みなさんにとって「用語という地雷原」をうまく回避するヒントになれば幸いです。

<ケース1>電変(でんへん)

私は20年程前にEMC試験器を製造する会社から、菊水電子がEMC関連事業を行うとの事で入社しました。以前勤めていた会社では、交流または直流電源に接続される機器の入力電圧を変動させて挙動を調べる試験の事を「電源変動試験」と呼び、試験以外でも変動させる事を「電源変動」や省略して「電変」と呼んでいました。なので菊水電子に入社してからも当たり前のように、「電源変動」、「電変」といった言葉を使っていたのですが、特にプロパー(生え抜き)の菊水電子社員の方になかなか通じませんでした。

菊水電子は電源装置を製造している会社です。菊水電子社内では「電源変動」と言えば、電源の安定度を表す特性(※1)の一つを表す用語です。また、短縮形である「電変」は、電源装置の(交流)入力電源電圧の変更を意味する略語です。(※2
今でこそ電源電圧を変動する試験を「電源変動」や「電変」と言っても伝わるようになりましたが、私の入社当時は(前職場で)使い慣れている用語が、(菊水電子社内で)違う意味で使われていましたので、「こいつ、何を言っているのだ?」という顔をされたのは当然と言えば当然でした。

※1: 電源変動には電圧と電流があり、「交流入力電圧の±10%(例えばAC100V入力の場合、AC90V〜110Vとなります)の変動に対する、出力電圧(または電流)の変動値。」となります。
※2: 例えば、AC100Vでしか動かない機器の入力電圧をAC200Vで動くように改造することを「電変」と呼んでいます。

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