エンジニアコラム

後藤 義則 後藤 義則

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本当は怖い専門用語・業界用語(後編)

2017.06.19

本当は怖い専門用語・業界用語(後編)

ちょっと待った!その言葉は正しく伝わりますか?

<ケース5>表現の誤用

静電気や雷が発生した時に、テレビや新聞で「数百万ボルトの『電流』が…」と表現しているケースがたまにあります。「おいおい違うぞ」と思いながら、電気知識があまりない(普通の)人に説明しても、たいがい「ふ~ん、そうなの?」と関心を持ってもらえません。関心が起きるとすれば、「壁のコンセントの電圧ってどのくらいなの?」、「それよりもどのくらいすごいの?」という風で、単に「雰囲気として」理解できればOKという感じです。

伝える側と受け取る側共に、(仕事として)電気に関係のない人にとっては「静電気や雷はスゴい」が伝われば、ボルトが電圧であろうと電流であろうと「どうでもいいこと」となります。しかし一方で、私の判断が悪いのか、関心がないだろうと思って説明しなかったり、適当に説明したりすると、かなりの確率で裏目に出ます。話がとんでもない方に脱線して、挙げ句の果てに「どうせ私をバカだと思っているんだろう!」という気まずい状態になったりします(笑)。この辺の塩梅は難しい。

テレビや新聞は間違えがない様に伝えて欲しいものですが、相手によってはその間違えや矛盾の修正が必ずしも必要ではなく、「伝えたいこと(雰囲気)が伝わる」ことと、正しい言葉を選んで「正確に説明すること」が常にイコールである必要はないのかもしれません。 とは言え、誤っている表現を修正したくなるのは、私だけではないはず。

用語は伝わってこそ

言葉が違うけど示す意味が同じというのもあります。電源電圧変動試験において、違いが殆どない波形パターンに対して「瞬低試験」、「瞬停試験」、「瞬断試験」等で表記されるケースがあります。それぞれ「瞬低」、「瞬停」、「瞬断」と略されますが、その使い分けについてインターネットで調べた限りでは、明確な違いをみつけられませんでした。電力会社様のホームページでは、瞬低(瞬時電圧低下)と停電の説明はあっても、瞬停と瞬断はありませんでした。国際規格等で使われている例や、「瞬低」、「瞬停」、「瞬断」の違いを記載している資料もありましたが、その裏付けが確認できませんでした。興味のある方は是非調べてみてください。

これらは、私的にはある程度(自己流で)使い分けているのですが、一般論として、自分で用法を決めかねる表現については、資料や規格書に記載されている名称を参照するのが次善かと思います。正論として、正しい表現で伝える事は重要です。しかしそれでも、表現に困る(伝わるかどうか不安な)場合は、「資料の内容や相手の使っている表現を使う」、「伝えたい内容を分かりやすい言葉に変えて表現する」、「場合によっては勢いで…」等、その場の状況判断が必要と思います。

最後にひとつ、皆さんに質問があります。
「マイナス100Vの電圧を少し上げてください。」と言われた場合、皆さんはどうしますか?
マイナス110Vにしますか?それともマイナス90V?

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