エンジニアコラム

石川 石川 隆宏

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伝わる図面を書く

2017.11.13

伝わる図面を書く

図面を片思いのラブレターにしない

私のとあなたの「普通」は違う

二つ目は、自分の設計意図通りに、製品が組み上がってこなかったことです。自分ではわかりやすく図面を書いたつもりだったのですが、部品の取り付け方、配線の引回し、線種等が意図と違ったこととなっていました。修正を頼むと時間がかかるので結局自分で直すことに。このおかげ(?)で、半田、圧着作業は上達しましたが、時間と労力を使い、そして製造部に対して「どうして分からないのだ」というストレスを持つようになりました。

しかし、一方的にイライラしていても仕方ないので製造部に行き、話を聞いてみることに。すると「自分はそう思ったから」、「普通はこうでしょ」、「そんなの分からない」とのこと。私の考えも「普通はこうでしょ」であり、お互いの「普通」がすれ違っている状況でした。
そもそも図面というのは、設計と製造が「共通認識」を持つための手法と言えます。しかし、図面作成や配線作業に没入しすぎると(悪いことと言い切れませんが)、自分の作業に対する(一方的な)正当性が強くなり、問題が起きた時、つい「間違っているのは相手だ」と思うようになります。片思いの相手にラブレターを送ったようなものでしょうか。「伝える=伝わる」ではないのです。

目指すべきは淡々と作れる図面

では良い図面とはどんなものなのか。プラモデルを例に考えました。
市販されているプラモデルは、基本的に誰に聞くこともなく、説明書を見れば完成させることができます。出来の上手い下手はあるかもしれませんが、自分の「普通」の概念を持ち出すことなく同じ物が出来上がります。そこから「良い図面とは作り手に不要な考えを持たせないことなのでは」との考えを持ちました。

作り手が「図面の意味が分からない」と発してしまうのは問題外として、「私の普通はこうだ」や「私はこう思ったから」という思考を持たせず、淡々と作れる図面を制作する。そのような図面であれば、同一品質の製品が出来上がってくるのではと思うようになり、それからは図面を見る人のことを考え、どうすれば見やすいか、間違えないか等に気を使うように心がけました。仮に製品が設計意図の通りに出来てこなかったとしても「図面が分かりづらかったのかな?」と思え、責任を転換することがなくなりました。

もちろん会話によるコミュニケーションを多く取り、不明な点をなくすことも大事であり、この点においても、以前よりも意識するようになりました。それからは組み上がった製品に対する修正も少なくなり、工程もスムーズに進むようになりました。
各々の企業やグループで、図面の規定はあると思います。そのルールの中で製品を作る人が、どう読み取るかを考えながら図面を書く、つまりは相手を思いやること。人間関係の基本そのものですが、図面の完成度を高くすることで、製品の品質と製造効率も高まるのではないかと私は信じています。

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