エンジニアコラム

板垣_300 板垣 喜春

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トラブルも神様の贈り物

2017.12.04

トラブルも神様の贈り物

絶縁アンプと外来ノイズの苦い思い出

キクスイで特注品(ソリューション製品)の世界に足を踏み入れてうん十年。様々な製品に関わると同時に、失敗も積み重ねてきました。今でこそ、後進に教訓めいた物言いをする私ですが、それは過去の手痛いトラブルがあればこそ。私の半分以上はトラブルの経験で出来ていると言っても過言ではないです。

トラブルというとネガティブなイメージがありますが、難局を切り抜けた経験は宝です(その時は辛いですが)。怠惰や不注意でのトラブルは論外ですが、真摯にやったにもかかわらずトラブルに遭遇した場合、それは「神様の贈り物」。そう受け止めるのがいいかと思います。というか、そうでも思わないとやってられません!(笑)
ということで、私が新人時代に貰った神様からのプレゼントのお話をしたいと思います。

初めて任された大型システム

これは新人時代に、初めて大きなシステム(数十chの電源システム)を任された時のお話です。システムは同じ電源を数十chというものではなく、電圧・電流の仕様も様々、出力形式も直流電源・バイポーラ電源・極性切り替え電源(※1)と十数種の電源を1台〜数台ずつ組み合わせた電源システムでした。お客様のシステム全体では100チャネル規模で、当社はその一部を請け負うというものでした。

お客様の仕様の主なポイントは、「①定電流モードで使用し、安定度が良いこと」「②電流の設定・モニター類は、電源の出力と絶縁されていること」でした。
私は、お客様のコントローラとのインターフェース部の設計と全体の仕様と設計をまとめる主担当をまかされて、数人の課員と手分けをして設計を進めていきました。
それまでの経験から、安定した「基準電圧」「誤差増幅器」「電流検出器」を組み合わせていけば良いと、設計作業を進めていきました。そして、部品を発注し、組立・配線を行い、火入れ調整に進んだタイミングで問題が発生しました。

※1:直流電源の出力極性をリレーなどで切り替えられるようにしたもの

原因は気軽に選んだ「絶縁アンプ」

データ取りを始めた現場から連絡が入りました。電流設定値に対して出力電流の安定度の性能が出ていないと。そこで各部の電圧を確認すると、安定していなければならない基準電圧が動いていました。犯人は、お客様のコントローラと電源の間に入れたインターフェース部の「絶縁アンプ」でした。

当時の私は絶縁アンプの使用経験が無かったのですが、先輩が使っているから大丈夫と普通のOPアンプと同じつもりで採用しました。そこであらためて絶縁アンプの仕様を見ると普通のOPアンプに比べて、オフセットが大きく、また、温度特性も少し悪かったのです。
さらにアンプの個数を減らそうと、絶縁アンプにゲインを持たせて使用していたためにオフセットもゲイン倍され、それも安定度を悪くする一因になっていました。先輩が使っているから大丈夫だろうと、実は自分で素子の仕様を確認していなかったのです。初歩的なミスです。やっちまいました。

早速、手直しです。対策は「①絶縁アンプを安定度の良いグレードのものに変更」「②絶縁アンプはゲイン1で使用」「③ゲイン用のOPアンプは絶縁アンプの前段にする(絶縁アンプの入出力を高い電圧で行うことでオフセットの影響を小さく)」です。
課員全員の応援をもらい、数十チャネル分の手直し改造を行い、なんとか納期に間に合わせることができました。大反省すべき失態でした。

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