エンジニアコラム

板垣_300 板垣 喜春

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トラブルも神様の贈り物

2017.12.04

トラブルも神様の贈り物

絶縁アンプと外来ノイズの苦い思い出

次の贈り物は原因不明のハンチング

規模の大きなものになりますと現場での立ち上げ、動作確認、立ち合いが行われます。
このシステムでも数日間の作業を数回に分けて、現場搬入から動作確認、立ち合いまでを行いました。「仕事は、段取り八分」と言いますが、作業要項・試験要項などの事前準備をしっかり行っていたことで、ここでは特に大きな問題も無く終えることが出来ました。

私としては大きな仕事が終わり、ほっとしてやれやれというところでした。しかし神様はこの後にも新たな贈り物を用意していました。お客様からトラブルの連絡を戴いたのは、納入完了数カ月後でした。症状は「出力が不安定になり、電源から異音がする」というものでした。

とりあえず症状を確認し、原因を検討するために現場に急行します。トラブルが発生する電源は、シリーズレギュレート方式の直流安定化電源でした。症状はハンチング(※2)の発生です。ハンチングは出力電流の増減に関わらず起きるようで、再現性が低く症状が一定していませんでした。

そこでできる対策として、位相制御の誤差増幅器の調整を行ったり、各部の波形を観察した結果、AC入力ラインからトリガとなるようなノイズが侵入し、原因となっているようだということがわかりました。お客様のシステムでノイズを発生するものが無いか確認しましたが、ノイズを発生するものは無く、トラブルが起きているのは当社の電源だけなので、早く対策するようにとの要望でした。

※2:シリーズレギュレート方式の電源は、位相制御形プリレギュレート部とシリーズトランジスタ部で構成されています。ハンチングは、この位相制御形プリレギュレート部の動作が不安定(発振)になることを言います。間欠発振すると、チョーク、トランス、などから異音が発生します。(当社ホームページ「ナレッジプラザ 電源の基本原理について」もご参照下さい)

真犯人は他にいた

上司に相談し、AC入力ラインにフィルターを追加することを試み、フィルターの定数をいろいろ変えてみましたが、なかなか決め手となる定数が見つけられません(当時小電力用のフィルターは市販されていましたが、大電力用は手作りでした)。
部材を手に入れては、対策を試みることを繰り替えし、トラブル対応の訪問回数も既に3回。なかなか解決することが出来ず、納入から半年近くが経過しており途方に暮れてしまいました。ときに神様の贈り物は過酷です。

しかし幕引きは突然やって来ました。次回の訪問の準備をしている時、お客様からトラブルが解決したとの連絡が。原因は、お客様のシステム内にある他社製の大電力パルス発生用電源がノイズ源であるとのことでした。トラブルは当社だけでなく、お客様のコントロール系の機器も誤作動を起こしていたので、お客様でも原因の検討を行っておりました。

トラブルは、原因となる電源と同じAC入力・アースラインを共有している機器で発生しており、芋づる式になっているアースラインにも原因がある様でした。お客様は、原因となる電源のAC入力・アースラインを独立して敷設し直しました。また、誤作動が発生しているアースラインを改善した結果、二度とハンチングは発生しませんでした。

結局、原因は他社製の電源ではあり、対応のための数ヶ月間の私の労力は意味がなかったわけですが、製品設計においてアースとコモンが大事な要素であることを認識する良い経験となりました。

さて、まもなくクリスマスです。
サンタクロースは大人になると来なくなります。
しかしこの神様のプレゼントは、どうやらそういったことはないようです。
なぜなら・・・私のところには毎年何かが贈られて来るからです(笑)。

来年はもう遠慮したいな。
私の引き出しの中は宝でいっぱいですよ・・・。

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